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物流コンサルタントはフリーランスになれる?独立のメリット・デメリットや案件の獲得方法を解説

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昨今、物流業界では深刻な人手不足が問題となっています。今まで以上に業務効率化の重要性が高くなったため、物流コンサルティングを求める会社が増えています。こうした需要の高まりを受けて、物流コンサルテタントの経験を活かしてフリーランス化したいと考える人もいるでしょう。この記事では、フリーランスの物流コンサルタントになるメリット・デメリットや、案件の獲得方法を解説します。

フリーランスの物流コンサルタントとは

フリーランスの物流コンサルタントとは、コンサルティングファームに所属せず、クライアントの物流やロジスティクスにおける課題を分析して解決策の提案・実行を支援する職業です。多くの場合、コンサルティングファームや物流業界で実務経験を積んでから、個人事業主として独立します。独立後は、クライアントとプロジェクト単位で業務委託契約を結んで仕事を進めます。主なクライアントは、荷主企業や物流企業、物流不動産企業です。あるいは、物流・荷主企業から依頼を受けたコンサルティングファームのチームに参加する場合もあります。

フリーランス物流コンサルタントの仕事内容

フリーランスであっても、企業所属の物流コンサルタントと仕事内容は基本的に共通しています。主な仕事内容は、次の5つです。

1. サプライチェーン全体の最適化
2. リードタイムの短縮
3. 物流管理システム・設備の導入
4. 輸配送や業務プロセスの効率化・コスト削減
5. 物流コンペの支援

それぞれの具体的な業務を見ていきましょう。

1.サプライチェーン全体の最適化

物流は、原材料の調達から消費者へ配達するまでの「サプライチェーン」と密接に関わっています。物流コンサルタントはサプライチェーン全体を分析して、ボトルネックを解消します。輸配送ルートの見直しや拠点の集約・増設、物流システムの導入・改善、在庫管理の適正化などの施策によって、サプライチェーン全体を最適化していきます。

2.リードタイムの短縮

リードタイムとは、商品の発注から納品までに要する時間です。たとえば、出荷のリードタイムが長すぎると倉庫に在庫が滞留するため、保管スペースを圧迫して管理コストを増加させます。物流コンサルタントは出荷や輸送などの工程におけるリードタイムを計測して、作業プロセスや人員配置の見直しを行います。

3.物流管理システム・設備の導入

物流管理システムの新規導入、あるいは既存システムの改善を実行します。業務プロセスを洗い出してWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸送管理システム)を導入・改善することで、入出荷や在庫管理、輸配送の効率化が可能です。また、物流倉庫で利用する機械設備の導入や改修も提案します。

4.輸配送や業務プロセスの効率化・コスト削減

輸配送ネットワークおよび業務プロセスを効率化して、コストを削減します。輸配送ルートやオペレーションの再構築、必要に応じた共同配送の導入によってコストパフォーマンスを高めます。さらに、海外拠点を持つクライアントに対しては、国際輸送のネットワークも含めたグローバルな改革の提案が必要です。

5.物流コンペの支援

近年は、物流企業を選定する際に「物流コンペ(入札・ビッド)」を行う荷主企業が増えつつあります。現場の分析と戦略の決定、候補会社の絞り込み、「RFP(提案依頼書)」の作成、入札内容の評価といった全面的な支援を行います。

フリーランス物流コンサルタントの年収

フリーランスの物流コンサルタントは、どの程度の年収が期待できるでしょうか。「年収相場」と「具体的な案件例」について紹介します。

年収相場

転職支援サービス「リクルートエージェント」の調査によると、物流コンサルタントの平均年収は750万円です(※1)。リクルートエージェントの掲載求人からの統計であるため、正社員や業務委託といった契約形態の違いにかかわらず集計されています。一般的に、会社員よりもフリーランスのほうが年収が高い傾向にあります。したがって、フリーランスのみの数値であれば、平均年収は750万円よりも高いと考えられます。また、同調査の年収分布では、1,001万円以上の求人がもっとも多い結果となりました。

具体的な案件例

フリーランス物流コンサルタント向けの案件情報では、以下のように月単価100万円以上の案件が多く見られました。

● 化粧品会社のSCM支援:月単価120万円
● 大手アパレル企業のSCM支援:月単価100〜130万円
● WMS(倉庫管理システム)運用支援:月単価80〜100万円

(※求人参照:フリーコンサルタント.jp)

年収換算で1,000万円以上の求人の割合が高く、フリーランスになることで年収を増やしやすくなるでしょう。

※1 参照:リクルートエージェント「物流・SCMコンサルタントの想定年収」

物流コンサルタントがフリーランスとして案件を獲得する方法

物流コンサルタントがフリーランスになるためには、案件の獲得が必須です。以下4つの方法でフリーランス向けの案件を探しましょう。

1. 知人から紹介してもらう
2. 案件のマッチングサイトで探す
3. フリーランス向けエージェントを利用する
4. SNSやWebサイトで情報を発信する

詳しい手法を説明します。

1.知人から紹介してもらう

人脈が広い人であれば、昔の同僚や取引先、友人などの知人から仕事を紹介してもらいやすいでしょう。既知の相手を通した案件であるため、ある程度の信頼を築いた状態でプロジェクトをスタートさせられます。一方で、トラブルがあると知人にまで迷惑がかかる点に注意しましょう。人脈を広げたい場合、物流業界のオンラインコミュニティやセミナーへの参加がおすすめです

2.案件のマッチングサイトで探す

クラウドソーシングサービスに代表される案件のマッチングサイトを利用すると、インターネット上で効率的に仕事を探せます。サービスサイト上で、案件の検索・閲覧・受注・報酬の受け取りが可能です。ただし、後述のフリーランス向けエージェントよりも報酬は低くなりがちです。手数料も生じるため、副業やフリーランスとしての実績作りを目的とした活用に適しています。

3.フリーランス向けエージェントを利用する

フリーランス専門のエージェントサービスでは、専任のアドバイザーが自身のスキルを最大限活かせる案件を紹介してくれます。さらに、希望する勤務地や稼働率、リモートワークの有無、最低単価といった細かな希望条件の提示も可能です。また、クライアントとの交渉やトラブル時の対応もアドバイザーが代行してくれます。ただし、手厚いサポートを受けられる代わりに、中間マージンが発生する点は事前に把握しておきましょう。

4.SNSやWebサイトで情報を発信する

SNSや自身の公式Webサイトで情報を発信して、直接クライアントを集客する方法もあります。Linkedinのようにビジネス特化型のSNSであれば、企業担当者に向けて広く情報を拡散できます。加えて、公式サイトには実績やプロフィール、事業内容を記載することで、信頼性の強化が可能です。効果が出るまでに時間がかかるため、案件を獲得するためには他の方法との併用が前提となります。

物流コンサルタントがフリーランスとして独立するメリット

物流コンサルタントがフリーランスになるメリットとして、次の3つが挙げられます。

1. 物流コンサルティング需要の高さ
2. 会社員よりも高報酬が見込める
3. 自身の裁量で働き方を調整できる

具体的な理由を解説します。

1.物流コンサルティング需要の高さ

近年のビジネス環境の変化により、物流コンサルティングの需要が高まっています。国土交通省の発表では、2030年には輸送能力が34.1%も低下するとの試算が予測されています(※2)。人手不足の深刻化により、多くの企業が物流工程の見直しに迫られている状況です。さらに、企業のグローバル化によって、物流のネットワークが世界へ拡大しています。物流を含むサプライチェーンの最適化が重要な課題となっているため、優れた物流コンサルタントが求められているわけです。こうした需要の高さは、フリーランスになっても継続的に仕事を獲得しやすいという大きなメリットにつながっています。

2.会社員よりも高報酬が見込める

物流コンサルタントに限らず、会社員と比較するとフリーランスは高報酬が期待できます。会社員はあらかじめ月収が決まっていますが、フリーランスはさまざまな単価の案件を選べます。高単価な案件を中心に受注することで、スムーズに年収を上げられるでしょう。自分の実力が報酬として正当に評価されるため、モチベーションも高くなります。また、物流コンサルタントは高度なスキルが必須の業務を担当するゆえ、月単価100万円以上の案件が多数あります。そもそもの単価相場が高いことから、より一層収入をアップさせやすいでしょう。

3.自身の裁量で働き方を調整できる

フリーランスの物流コンサルタントは、働き方の自由度が高いです。低稼働率の案件を選べば、プライベートの時間をしっかりと確保できます。リモートワーク可の案件の場合、通勤時間がないためさらにプライベートな時間が増えます。家事や育児、介護といった家族のサポートに加えて、自分の余暇にも充分に時間を使えるようになるでしょう。もちろん、さらなる収入の向上を目指して高稼働率の案件を選ぶことも可能です。また、仕事と日常のメリハリをつけたい場合、通勤が必要な案件を中心に探せます。どのような希望条件を持つ人でも、フリーランスになることで理想のワークライフバランスを実現できるでしょう。

※2 参照:国土交通省「物流の2024年問題について」

物流コンサルタントがフリーランスとして独立するデメリット

物流コンサルタントがフリーランスになるのはメリットばかりでなく、独立によって以下3つのデメリットが生じます。

1. 独立直後は収入が不安定になりやすい
2. コンサルティング以外の作業が発生する
3. 会社員以上に即戦力として求められる

それぞれどのような点に注意すべきか、見ていきましょう。

1.独立直後は収入が不安定になりやすい

いかに優れた物流コンサルタントであっても、独立直後は収入が安定しない可能性があります。収入が不安定になると社会的信用が低下して、賃貸の入居審査やローンの審査に落ちるリスクが高まります。フリーランスとしての実績が一切ないと仕事を獲得しづらいため、いきなりの独立はおすすめできません。まずは会社員として働きつつ、副業として案件を受注していきましょう。案件の受注実績を重ねた状態でフリーランスになることで、独立直後から収入を安定させやすくなります。社会的信用も損ねないため、各種審査で不利になる心配を減らせるでしょう。

2.コンサルティング以外の作業が発生する

フリーランスの物流コンサルタントは個人事業主として働くため、経理・税務処理を自分で行わなくてはいけません。確定申告にミスがあれば、追徴課税が発生するリスクもあります。また、働き方を自由に決められる分、会社員以上に厳格なスケジュール管理が不可欠です。フリーランス向けエージェントを活用しない場合、クライアントへの営業や交渉といった業務も発生します。コンサルティング業務にできる限り専念したいのであれば、税理士やフリーランス向けエージェントへの依頼が必要になってくるでしょう。

3.会社員以上に即戦力として求められる

明確なデメリットとは言えないものの、フリーランスの物流コンサルタントは会社員以上に即戦力として見なされる点をあらかじめ理解しておきましょう。クライアントとは案件ごとの契約となるため、会社員のような教育の場はありません。明確に成果を残さなければ、次回の契約を獲得できないでしょう。案件を受注する際は、クライアントが求める知識や技術を細かく確認することが大切です。自身のスキルと合致する案件を受注すれば、クライアントの期待に応えて即戦力として活躍できます。

物流コンサルタントがフリーランスになるために必要なスキル

物流コンサルタントがフリーランスになるためには、次の6つのスキルが求められます。

1. 物流業務の高度な知識
2. SCMの専門知識
3. ITシステムの知見
4. データ分析スキル
5. コミュニケーション能力・マネジメントスキル
6. 関連する資格の習得

各スキルの特徴や必要性について詳しく説明します。

1.物流業務の高度な知識

物流におけるすべての業務に関する高度な知識は、物流コンサルタントが独立する上でもっとも重要です。物流の工程とそれぞれの業務内容を理解していなければ、クライアントの物流現場で起きている問題点を正確に見抜けません。また、知識だけでなく、コンサルティングファームまたは物流業界での実務経験が必要となります。

2.SCMの専門知識

SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、複数の企業で構成されるサプライチェーンを一元管理するための方法です。サプライチェーンの最適化には、SCMによる企業間の連携強化が大切です。物流コンサルタントに必須の知識となるため、SCMの流れを習得してロジスティクスなどのSCM関連領域の知識も高めておくことが求められます。

3.ITシステムの知見

サプライチェーンおよび物流で活用されるITシステムの種類や、具体的な製品やサービスへの知見が必要です。物流のDX化やデジタル化のため、新たにITシステムを導入する案件はよくあります。また、SCMにおいても、ITシステムを導入するケースが多いです。ITシステムの知見を深めることで、クライアントの課題に適した製品やサービスの選定が可能になります。

4.データ分析スキル

クライアントへ効果的な施策を提案するためには、的確なデータ分析が重要です。たとえば、輸配送ネットワークを分析することで、ボトルネックを発見してルートを改善できます。物流業務の効率化やコスト削減、サプライチェーンの最適化には不可欠なスキルと言えます。

5.コミュニケーション能力・マネジメントスキル

物流コンサルタントは、クライアントの経営層や現場従業員と深く関わります。相手の要望を上手く引き出したり、施策の内容をプレゼンテーションしたりするために、柔軟なコミュニケーション能力が必要になります。さらに、プロジェクトや複数の企業・部門を管理するためのマネジメントスキルも大切な要素です。

6.関連する資格の習得

物流コンサルタントが独立するために必須の資格はありません。しかし、資格を習得することで、強みとなるスキルの証明書として活用できます。おすすめの関連資格は、以下の一覧表をご確認ください。

資格名 概要
物流技術管理士 物流・ロジスティクスのスペシャリストとしての証明
SCM検定 ロジスティクスの専門知識の認定
APICS認定資格 SCMの全般的な知識の修得の認定
ロジスティクス経営士 経営視点の物流・サプライチェーンスキルの認定
国際物流管理士 国際物流の専門知識の認定
MBA 経営学修士の学位
TOEIC 英語力の認定資格

物流コンサルタントはフリーランスになれる?独立のメリット・デメリットや案件の獲得方法を解説まとめ

物流業界は慢性的な人手不足に悩まされており、サプライチェーンの最適化やリードタイムの短縮が急務となっています。こうした課題を解決するべく物流コンサルタントに依頼する企業が多いため、物流コンサルタントはフリーランスになっても継続的に仕事を獲得しやすいでしょう。案件を探す際にはフリーランス向けのエージェントサービスを使うことで、希望の報酬や働き方を満たす案件を効率的に見つけられます。

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Shine Craft株式会社 代表取締役 濱口浩平
監修者
濱口浩平
Shine Craft株式会社 代表取締役
・2008年野村総合研究所入社、外資コンサルティングファームを経て、2015年よりフリーコンサルタントして活動開始。これまで、IT戦略、DX推進、新規事業策定、PMO、システム導入など幅広いプロジェクトを経験。
・2022年Shine Craftを共同創業
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