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個人事業主としてコンサルティング事業を始める際のポイント

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コンサルタントとして仕事を行ってきた方のなかには、独立を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

独立する方法には、「個人事業主として起業する方法」と「法人として起業する方法」の2つがあります。個人事業主と法人のどちらが良いのかがわからない、個人事業主として事業を始めるにはどのような準備をすれば良いのかなど、気になる点があるでしょう。

本記事では、個人事業主と法人の違いや年収の相場、事業を始める前の準備やポイントなどを解説します。

個人でもコンサルティング事業を始められる?

コンサルティングのサービスと聞くと、大企業のイメージが大きいという方もいるでしょう。しかし、実際は個人でコンサルティングサービスを提供している方も少なくありません。

ランサーズ株式会社の「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、フリーランス人口1,577万人(2021年時点)のうち、営業・コンサルタントの割合は、8.7%でした。フリーランスの人口は年々増加傾向にあるため、個人でコンサルタントを行う方は、今後も増えていくでしょう。

個人でコンサルティング事業を始める場合は、個人事業主として業務を行う方法法人化してコンサルタント会社を立ち上げる方法の2つがあります。個人事業主とは、法人化せず、個人で事業を営む個人のこと。個人事業主として働き、売上が上がってきたところで法人化する人や、初めから法人化する人などさまざまです。

関連記事:フリーランスコンサルタントの独立準備は何が必要?貯金は?年収は?

コンサルティング業を営む個人事業主と法人の違い

コンサルティング業を営む方法には、個人事業主と法人の2つがあるとご紹介しました。では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、初期投資や税金の手続きなど、5つの項目に分けて詳しく説明していきます。

違い①初期投資

個人事業主と法人では、初期投資が異なります。個人であれば、事務所を持つ必要もなく、設備も最低限の準備ができていれば良いため、初期費用は安く済ませられます。開業に必要な手続きも、税務署に開業届を出すだけのため、費用はかかりません。

法人の場合は、設備投資以外にもさまざまな費用がかかります。法人でかかる費用は、以下の通りです。

  • 設備投資
  • 資本金
  • 登記にかかる費用(株式会社は約25万円、合同会社は約10万円)

資本金は、会社法上では1円以上と定められていますが、会社の信用度にも関わるため、ある程度は必要です。具体的には、会社設立から3ヵ月は事業が続けられる程度には確保しておくとよいでしょう。

また、上記に挙げた以外にも、会社印の購入や、社会保険への加入なども必須事項です。費用以外にも、登記申請書や発起人の決定書など、会社設立のために提出しなければならない書類が複数あり、個人事業主よりも手続きが煩雑です。

違い②税金の手続き

個人事業主と法人では、税金に違いがあります。それぞれの税金は、以下の表を参考にしてください。

個人事業主法人
所得税法人税
個人住民税法人住民税
個人事業税法人事業税

所得税と法人税について詳しく見ていきましょう。所得税では、累進課税が適用されます。累進課税とは、所得が大きくなるほど税率が上がる仕組みのことです。所得税の税率は、最大45%かかります。

法人税も売上によって税金は上がっていきますが、税率は所得税よりも緩やかで、最大で23.2%です。そのため、個人での売上が増加してきた場合は、法人化したほうが納税額を少なく抑えられます。

ただし、法人化の場合、赤字でも法人事業税を支払わなければならない点には注意しましょう。個人事業主であれば、赤字の場合は課税されません。なお、一般的に、年収が800万円を超えたラインが法人化の目安になるといわれています。

違い③社会的信用

個人事業主は、法人に比べると社会的信用が低い傾向にあります。法人の場合は、会社の設立や組織、運営などついて定めた会社法という法律があり、それに沿って運営されるからです。資本金の金額が大きいほど、その会社に体力があるという証にもなり、社会的信用度が増します。

また、個人事業主はいつでも事業をやめられますが、法人は簡単にはやめられません。そのため、取引先や金融機関から見ても、法人のほうが信用できると判断されやすいといえます。

違い④責任の範囲

個人事業主の責任範囲が「無限」なのに対し、法人は「有限」です。個人事業主の場合、自分一人で事業を行うため、全責任を負わなければなりません。例えば、クライアントに対して賠償が発生すると、事業の売上で賄えない分は、個人の財産から支払わなければならなくなります。

一方、法人では、会社を設立した「個人」と「会社」は別人格として取り扱われます。そのため、会社の取引すべてに対して経営者個人が責任を負うことはありません。法人の責任範囲は、自分が出した出資額の範囲内です。

例えば、400万円を出資した会社が1,000万円の借入を行った場合、残りの600万円については責任を負いません。経営者個人が責任すべてを負う必要がないため、ある程度売上が上がってきたところで法人化したほうが、安心して事業を継続できるといえるでしょう。

違い⑤人件費

個人事業主の場合は自分だけの人件費だけしかかからないのに対して、法人の場合、社員やパート、アルバイトの人件費がかかります。個人事業主で仕事量が多くなった場合は、アウトソーシングを利用すれば必要以上の人件費を払うこともありません。

法人化してコンサルタントを雇う場合は、人件費を賄える売上を確保する、もしくは事前に支払う分の人件費を用意しておく必要があります。

関連記事:フリーランスコンサルタントの独立メリット・デメリットは?経費や税金は?

個人で活動するコンサルタントの年収の相場


コンサルタントの経験年数や期待される役割に応じて、以下の5つに分かれています。

  • アナリスト
  • コンサルタント
  • マネージャー
  • シニアマネージャー
  • パートナー

ここでは、個人で活躍するコンサルタントの年収相場を、スキル別に紹介します。

アナリスト

アナリストとは、情報収集や分析、資料作成などを主な業務としており、ジュニアコンサルタントやコンサルティングファームなどと呼ばれることもあります。先輩のコンサルタントに同行し、指示を受けて実行・報告するのが基本です。

経験年数は2年以上のレベルです。コンサルティング料の単価や年収は、稼働率によっても変わります。コンサルティング料の単価は稼働率が100%で80万~120万円程度です。アナリストの場合、データの収集・調査・分析が主な業務となるため、稼働率は50~60%の募集が多い傾向にあります。そのため、別の仕事と掛け持ちで稼ぐこともできます。

年収は、960万~1,440万円が相場ですが、募集は年収400万円以上からが一般的です。

コンサルタント

コンサルタントとは、プロジェクトにおいて実務を担当するポジションです。自分の判断で、課題を解決するための仮説の構築や検証作業を行います。経験年数は3年以上のレベルで、コンサルティング料の単価は、100%の稼働率で100万~150万円程度です。

年収は、1,200~1,800万円が相場です。分野によっても単価や年収は異なりますが、ERPやSAPコンサルの場合は、年収2,000万円以上になることもあります。

マネージャー

マネージャーとは、プロジェクトをまとめ、進行に責任が生じるポジションです。プロジェクトの管理や予算管理、顧客との交渉などを行います。経験年数は6年以上のレベルです。

コンサルティング料の単価は150万円以上、高いものだと200万円以上を提示する案件もあります。年収は1,800万円以上からが相場です。

シニアマネージャー

シニアマネージャーとは、大規模なプロジェクトのリーダー的存在で、プロジェクト管理、顧客折衝、予算管理などが業務です。クライアント先の経営層・意思決定者との信頼関係を構築し、組織の運営に活かすのはもちろん、チームの予算を策定し、収益に対する責任を負うなど、重要な役割を担います。

また、人材育成を行う場合もあります。経験年数は9年以上、コンサルティング料の単価は180万円以上です。年収は2,160万円が相場で、2,500万円を超えるコンサルタントも少なくありません。

パートナー

パートナーとは、共同経営者、出資者として会社の経営に関与する役職です。プロジェクトの最終的責任者であり、コンサルティングファームで考えると役員レベルのスキル・実績を持ち、コンサルタントとしての最高ポジションとなります。

経験年数は12年以上ではありますが、パートナーレベルと認められるためにはその人の人格や知識の深さなども関わるため、一概にはいえません。コンサルタント料の単価は、100%稼働で250万円以上です。年収は3,000万円以上が相場となります。

関連記事:コンサルタントの単価の決まり方と費用の相場を種類別に解説

個人でコンサルティング事業を始める前の準備

何も準備をせずに個人でコンサルティング事業を始めてしまうと、失敗してしまうおそれがあります。ここでは、コンサルティング事業を始める前の準備について詳しく解説します。

①ご自身が提供できるコンサルタントの分野を明らかにする

自分の得意分野や専門知識、興味のあるポイントを把握し、自身が提供できるコンサルティングサービスを明確にしましょう。経営に関する幅広い知識があれば経営コンサルタントとして、人事評価や人材確保などの課題解決が得意なら人事系コンサルタントとして活躍できます。

自分が得意な専門領域を確立し、顧客の悩みにどう対応していくかを考えましょう。

②ニーズを分析する

自分が参入する分野にニーズがあるかを検証しましょう。顧客ニーズがない市場でいくら頑張っても、利益は見込めません。自身が提供するサービスを求める顧客がいるのか、売上が見込めるのかを徹底的に検討してください。

競合が多い場合は、ほかのコンサルタントとの差別化を図れるよう、詳細な分析を行います。ニーズを分析したうえで顧客の立場に立ち、提供できるサービスを考えていきましょう。

③長期的なビジョンを見据える

長期的なビジョンを見据え、目標を設定しましょう。長期的なビジョンがあれば、事業の方向性を決め、目標達成に向けて行動しやすくなります。顧客との良好な関係を築くのはもちろん、定期的な収入源を確保することも欠かせません。

また、報酬の設定やリスクマネジメント、財務計画など、あらゆる側面においてビジョンを持って事業を運営することを心がけてください。

④最低限の資金や備品を揃える

個人事業主の場合、比較的低コストで事業を始められます。しかし、通信設備やデスク、文具類など、最低限必要なものがなければ仕事になりません。必要なものを洗い出し、開業の前に準備しておきましょう。

また、開業後はまだ実績や知名度が十分でないため、顧客獲得までには時間がかかります。十分な資金を準備しておけば、安心して仕事を進められます。

⑤個人で活動するコンサルタント仲間を見つける

個人で活動するなら、同業者とのつながりを築くことが大切です。困ったときやサポートが必要なときなど、コンサルタント仲間がいれば相談できます。また、お互いに仕事を紹介しあうことも可能です。

トラブルがあった際に対処法を教えてもらったり、新しい情報や知識を得る機会につながったりなど、メリットも多くなります。

個人事業主のコンサルタントが集客するためにできること

個人事業主としてコンサルタントをいざ始めようと思っても、集客できなければビジネスが成り立たず売上も得られません。ここでは、個人事業主のコンサルタントが集客のためにどのようなことができるのかを詳しく解説します。

無料コンサルティングを実施する

特に、開業して間もないうちは顧客を獲得するのが難しいため、無料でコンサルティングを実施しましょう。無料であれば、顧客にとっても敷居が低くなるためコンサルティングを受けてもらいやすくなります。

ただし、無料は信頼性に欠ける点がデメリットです。無料コンサルティングを実施する場合は、期間や人数を限定するのがおすすめです。実績を積み上げれば、徐々に知名度も上がっていきます。

SNSを活用する

SNSを利用すれば、顧客とのコミュニケーションや情報発信が可能です。SNSに自身の専門知識や経験に関するコンテンツを定期的に投稿すれば、自己ブランディングを強化し、信頼を得ることにもつながります。また、SNSを通じて顧客からの問い合わせや相談などを受けることも可能です。

チラシやDMを配布する

チラシやDMは、SNSに慣れていない顧客層に有効な方法です。チラシのポスティングは、人の目にとまりやすい・反応率が高い傾向にあります。DMは、ターゲットとなる人に確実にアプローチできる方法です。チラシやDMを通じて自身のサービスをアピールすれば、顧客が興味を持ってくれる確率も高まるでしょう。

また、知り合いに紹介された場合にも、チラシがあればすぐに渡せるため、自分のサービスをわかってもらいやすくなり、依頼につなげやすくなります。

個人でコンサルティング業を始める際のポイント


個人事業主は初期投資が少なく、開業届を出せば事業を開始できる点がメリットです。しかし、事業を軌道に乗せるために気をつけなければならないこともあります。

ここでは、そのポイントを解説します。

ポイント①リソースを確保する

個人事業主で仕事を受注する場合、一人よりも複数人で協力したほうが多くの仕事をこなせます。事業が軌道に乗ったとしても、人員が足りなければすべての仕事をこなしきれないため、依頼を断らなければならないケースもあるでしょう。

しかし、個人事業主で必要な人員を確保する場合、5人以上の従業員を雇うと社会保険に入らなければなりません。負担を減らしたいなら、従業員は4名までがおすすめです。それ以上の仕事を引き受ける場合や一人で仕事を行う場合は、外注できるパートナーを探しておくと安心です。

この人に頼めば確実に仕事をしてもらえると信頼してもらうためにも、業務を着実に行えるリソースを確保しておきましょう。

ポイント②安定的な集客を目指す

安定的に仕事が受注できるよう、集客経路を作っていきましょう。個人事業主は、サービスの提供はもちろん、営業活動も一人で行わなければなりません。プロジェクトのみに注力していると、営業にかける時間がなくなるため、仕事が継続的にできなくなってしまう恐れがあります。

顧客を紹介してくれる人脈を構築する、案件紹介サービスを活用するなど、営業活動とデリバリーを両立できるよう工夫しましょう。

ポイント③スキルアップを欠かさない

コンサルタントは常に学び続ける姿勢が求められます。特に、フリーランスのコンサルタントは報酬が高額で企業の期待値も高いため、さらなる努力が要求されるといえます。また、昨今のDX化にともない、ツールやシステムも、次々に新しいものに進化しているのが現状です。

新しいトレンドに合わせて知識を身につけるのはもちろん、既存のスキルを向上させていくことで、高い報酬の案件や新しい分野のプロジェクトへの挑戦が可能になります。コンサルタントに欠かせないスキルは、論理的思考力や洞察力、コミュニケーションなどさまざまです。セミナーに通う、本で学ぶ、YouTubeを見るなどして必要なスキルを身につけていきましょう。

個人事業主として営業活動を行うなら、ライティングスキルを磨くのもおすすめです。ライティングスキルを磨けば、自身で情報を発信し、宣伝ができるため集客につなげられます。

個人のコンサルタントが効率よく業務を進める方法

個人事業主としてコンサルタントを行う場合、クライアントから受けた仕事はもちろん、法務や会計、営業活動もすべて自分で行わなければなりません。

これらの仕事を効率よく進めるためにできることとして、「専門家とのつながりをもつ」「代行サービスを利用する」の2つの方法があります。ここでは、それぞれの詳細を解説します。

専門家とのつながりをもつ

必要に応じてサポートしてもらえるように、専門家を探しておきましょう。個人事業主が行う業務として挙げられるものには、会計管理、顧客管理、営業活動、確定申告の申請などがあります。

会社から独立して仕事を始める場合、経験のないことまでやらなければならないため大変です。困ったときに相談したりサポートを依頼したりできるよう、税理士や経営コンサルタントなどを見つけておけば、安心して業務を進められます。

また、無料相談を受け付けている公共機関や団体を利用するのもおすすめです。Webデザインやプログラミング、外国語など、さまざまなスキルを持った方と接点を持っておけば、いざというときに役立つでしょう。

代行サービスを利用する

代行サービスを利用するのもおすすめです。最近では、電話代行や営業代行など、さまざまな代行サービスがあります。代行サービスを利用すると費用はかかりますが、電話や営業にかける時間を業務に充てられるようになります。

マネージャーやパートナークラスになると収入も増えてくるため、自分で電話や営業を行うよりも代行サービスを利用したほうがプラスになる可能性もあります。

収支とのバランスを考えて、代行サービスも検討してみるとよいでしょう。

個人事業主としてコンサルティング事業を始めよう

個人事業主は初期投資が少なく、開業にかかる手続きも簡単なため、すぐにコンサルティング事業を始められます。しかし、事業を軌道に乗せるには時間がかかるため、無料コンサルタントやSNSを活用するなどして着実に実績を積み上げていきましょう。

個人事業主の場合、クライアントからの依頼だけでなく会計や営業活動など、自分一人でやらなければならない業務は多岐にわたります。代行サービスを活用したり、専門家に相談したり、業務を効率的に行える工夫をしましょう。

特に、始めのうちは顧客の獲得までに時間がかかります。自身のスキルや知識を活かした高単価・好条件の仕事を見つけたいなら、フリーコンサルタント向けのマッチングプラットフォーム「THE CONSUL」の利用がおすすめです。

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Shine Craft株式会社 代表取締役 濱口浩平
監修者
濱口浩平
Shine Craft株式会社 代表取締役
・2008年野村総合研究所入社、外資コンサルティングファームを経て、2015年よりフリーコンサルタントして活動開始。これまで、IT戦略、DX推進、新規事業策定、PMO、システム導入など幅広いプロジェクトを経験。
・2022年Shine Craftを共同創業
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