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製造業コンサルタントは、メーカー出身者に人気の転職先の1つです。メーカーと近いポジションですが、業務内容にはマネジメントや経営戦略などの要素が含まれます。
転職を希望する人は、事前に製造業コンサルタントについて正しく理解しておきましょう。この記事では、製造業コンサルタントの具体的な仕事内容やメーカーとの違い、転職するメリットを解説します。
製造業コンサルタントとは
製造業コンサルタントとは、製造業界への支援に特化した職業です。クライアントの経営戦略、生産プロセス、サプライチェーン、コスト、バックオフィスといった領域における課題解決をサポートします。製造業に関する専門知識が必要なため、メーカー出身者が多いです。
また、ひと口に「製造業」と言っても、コンサルティングファームによって支援分野が異なる場合があります。自動車、金属、医療、化学、食品、電子部品など、製造業の種類は幅広いためです。中には、製造業を全般的に支援するコンサルティングファームも存在します。
製造業コンサルタントとメーカー勤務との違い
製造業コンサルタントはメーカー出身者が多いものの、メーカー勤務とはさまざまな違いがあります。たとえば、メーカーの場合、業務内容をはっきりと分担している会社が一般的です。したがって、実務を通して得られるスキルは限定的になりやすいでしょう。
対する製造業コンサルタントの業務は、経営や製品開発、プロモーションなどの広い領域を担当します。そのため、メーカー勤務に比べて多彩なスキルを学べます。
製造業コンサルタントの平均年収
製造業コンサルタントの平均年収の統計はありません。そこで、他のコンサルタント職の平均年収を紹介します。
厚生労働省「jobtag」によると、「経営コンサルタント」の平均年収は780.9万円です(※1
)。また、ITコンサルタントの平均年収は660.4万円でした(※2)。どちらも、令和4年度における日本の平均年収458万円を上回っています(※3)。近い職種である製造業コンサルタントの年収も、日本の平均年収より高いと考えられます。
実際の求人による年収は?
実際の求人では、製造業コンサルタントの年収は以下のように幅があります。
● 求人A(リモート勤務可):年収700万円〜850万円
● 求人B(外資系ファーム):年収800万円~2,500万円
● 求人C(上場企業):年収590万円~1,330万円
(求人参照:スタンバイ、doda)
製造業コンサルタントは、クライアントの業務改革や生産DXのための計画を立案します。重要な役割を担うため、多くの求人では高い報酬が提示されています。
※1 参照:jobtag「経営コンサルタント – 職業詳細」
※2 参照:jobtag「ITコンサルタント – 職業詳細」
※3 参照:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
関連記事:ITコンサルタントが独立してフリーランスになるには?未経験OK?案件や年収も紹介
関連記事:ITコンサルティング企業年収ランキング、国内ITコンサルティング企業6社/ITコンサルタントになるには?向いてる人は?
製造業コンサルタントの主な仕事内容
製造業コンサルタントの仕事内容は、大きく分けて次の2つです。
1. 現場の改善
2. 経営戦略の立案
具体的な業務や役割を解説します。
現場の改善
1つ目は、クライアントの現場改善です。生産プロセスの改善を目的とし、製造効率の向上やコスト削減のために必要な施策を提案・実行します。たとえば、SCM(サプライチェーンマネジメント)やPDM(製品データ管理)、IoT機器などのITシステムの導入を行います。
経営戦略の立案
2つ目は、クライアントへの経営戦略の立案です。クライアントの経営状況や競合他社、市場、顧客のニーズを調査し、経営戦略を見直します。具体的には、海外輸出の調整、グローバル化、流通の整備、製品の開発や戦略を実施します。
製造業コンサルタントへ転職するメリット
製造業コンサルタントは、メーカー出身者の人気の転職先の1つです。製造業コンサルタントとして働くメリットは、以下の3つ です。
1. 給与が高くなりやすい
2. メーカーの経験を活かせる
3. 将来的なキャリアの幅が広がる
それぞれの理由を説明します。
給与が高くなりやすい
製造業コンサルタントの給与は、メーカーより高い傾向があります。そもそもコンサルタント職は業務の重要度ゆえに全体的に報酬の水準が高いです。年収1,000万円以上が珍しくないため、製造業コンサルタントも高報酬が期待できます。一方で、コンサルタントの給与は実力が強く反映されます。必ずしも報酬が上がり続けるわけではない点に注意が必要です。
メーカーの経験を活かせる
メーカーで得たスキルや経験を業務に活かしやすい点も、製造業コンサルタントならではのメリットです。製造業コンサルタントは、製品設計・開発、企画、生産技術、業務プロセスといった製造に関する専門知識が求められます。メーカー出身者はこうしたスキルが身についているため、製造業コンサルタントの業務をスムーズに理解・実行できるでしょう。
将来的なキャリアの幅が広がる
製造業コンサルタントは、再度転職する際の選択肢が広いと言えます。従業員ごとの明確な業務分担があるメーカーに対し、製造業コンサルタントの業務内容は多岐にわたります。製造に関する業務だけでなく、経営やマーケティングなどの幅広い分野にも携わるわけです。豊富なスキルを習得できるため、将来的なキャリアの幅が広がります。
関連記事:コンサルタントのキャリアパスとは?ポストコンサルとは?その実態を深掘り
代表的な大手製造業コンサル会社
製造業コンサルタントが在籍する会社は、国内に数多くあります。例として、次の5社が挙げられます。
1. 大手ファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」
2. 中小企業を支援する「技術経営フロンティア」
3. コンサルティング事例が豊富「ものづくり戦略カンパニー」
4. 製造業に特化「オーツー・パートナーズ」
5. 総合系ファーム「PwCコンサルティング」
各社の特徴を簡単に解説します。
大手ファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、外資系コンサルティングファームです。製造業向けのコンサル事業も展開しており、自動車や産業機械、オペレーションなどの領域を支援しています。
中小企業を支援する「技術経営フロンティア」
株式会社技術経営フロンティアは、中小企業を中心に支援するコンサルティング会社です。製造業・物流業向けに、現場改善や社員研修、生産性アップなどのコンサルティングサービスを提供しています。
コンサルティング事例が豊富「ものづくり戦略カンパニー」
株式会社経営共創基盤ものづくり戦略カンパニーは、自動車および自動車部品、素材といったBtoB製造を支援します。経営共創基盤グループの豊富な人材やノウハウを活用し、製造業のコンサルティングを行います。
製造業に特化「オーツー・パートナーズ」
株式会社オーツー・パートナーズは、製造業への支援を専門的に行うコンサルティングファームです。経営コンサルティング、設計・生産の技術など、製造に関する領域を幅広くサポートしています。
総合系ファーム「PwCコンサルティング」
PwCコンサルティング合同会社は、世界中に支社を持つグローバルファームです。数多くの業界へのコンサルティングサービスを実施しています。製造業への支援にも対応しており、企業の抜本的な改革を支援しています。
製造業コンサルタントになるために必要なスキルや経験
製造業コンサルタントへの転職・就職には、以下4つのスキルや経験があると良いでしょう。
1. 生産技術や製品開発などの実務経験
2. 課題解決力
3. マネジメントスキル
4. コミュニケーション能力
順番に説明します。
生産技術や製品開発などの実務経験
製造業コンサルタントとして働く上で、製造に関する実務経験は大いに役立ちます。生産技術や製品開発、サプライチェーンなど製造業への深い理解があれば、クライアントの要望を明確に理解できます。また、クライアントの課題に沿った効果的な施策も提案しやすくなるでしょう。
課題解決力
課題解決力は、クライアントの経営や現場の課題を解決するために必要です。収集したデータやヒアリング結果を分析し、最適な施策を提案する能力が求められます。そのため、論理的な思考力も必須となります。
マネジメントスキル
製造業コンサルタントには、マネジメントスキルも重要です。プロジェクトごとに実行計画を立て、スケジュール通りに進行させる必要があります。そのためには、適切な目標設定やリソースの分配、リスク管理を実現させるマネジメントスキルが欠かせません。
コミュニケーション能力
製造業にかかわらず、コンサルタントには高度なコミュニケーション能力が不可欠です。クライアントと密接に関わる上、ヒアリングや調査でやり取りする相手は非常に多くなります。さらに、プロジェクトメンバーの統括も担うため、優れた対人スキルが必要です。
製造業コンサル会社への転職におすすめの資格一覧
製造業コンサル会社へ転職したい場合、以下5つの資格があれば選考で有利になる可能性があります。
1. MBA(経営学修士)
2. 社会保険労務士
3. 中小企業診断士
4. PMP
5. TOEIC
1つずつ概要を紹介します。
MBA(経営学修士)
MBA(経営学修士)とは、大学院の修了者に与えられる経営学の学位です。資格ではないものの、夜間および土日の通学が可能なため、社会人から人気を集めています。経営学について体系的に学びたい人におすすめです。
社会保険労務士
社会保険労務士とは、労務管理や人事、社会保険の関連法律を熟知した専門家です。国家資格であり、通称「社労士」と言われています。クライアントの人事労務の改善に活用できるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営を調査し、現状を診断するエキスパートです。国家資格に認定されており、経営コンサルティングの学習に活用できます。経営に関連して、生産管理やITなどの知識も得られます。
PMP
PMPとは、「Project Management Professional)」の略称です。プロジェクトマネジメントの専門的なスキルを認定する資格です。国際的に通用する資格であり、資格勉強によってプロジェクト管理スキルを強化できるでしょう。
TOEIC
ご存知の方も多い「TOEIC」とは、受験者の英語力を認定するテストです。コンサルティングファームの中には、海外企業と取引する会社もあります。グローバル企業に転職したい場合、まずは990満点中700点以上を目指しましょう。
関連記事:フリーランスのコンサルタントは資格が必要?独立時に有利になる4つの資格を解説
製造業コンサルタントのキャリアパス
製造業コンサルタントへの転職・就職後は、主に下記3つのキャリアパスがあります。
1. 製造業コンサルティングファームでキャリアを積む
2. メーカーの経営・企画層へ転職
3. フリーランスとして独立
詳しく見ていきましょう。
製造業コンサルティングファームでキャリアを積む
製造業コンサルタントとしてキャリアを続け、役職を上げていくパターンです。基本的に、コンサルタントは「アナリスト→コンサルタント→マネージャー→パートナー」の順番で役職が上がります。同じファームで働き続ける、あるいは別のファームへ転職し、キャリアアップを目指します。
メーカーの経営・企画層へ転職
メーカーへ再度転職するルートも考えられます。メーカーへ戻る場合、技術職だけでなく、経営や企画などのポジションに就くことも可能です。コンサルティング経験で得た経営やマネジメントスキルを生かせるでしょう。
フリーランスとして独立
製造業コンサルタントで一定の実績や実力を積み上げれば、フリーランスとしての独立も視野に入れられます。フリーランスのコンサルタントを求める案件は数多く、高いスキルを持つ人物であれば安定して仕事を獲得できるでしょう。加えて、フリーランスマッチングサービスを利用すると、さらに案件を探しやすくなります。
関連記事:コンサルタントが独立しフリーランスになったら年収はいくら?単価の決め方や上げ方も紹介
製造業コンサルタントへの転職で後悔しないためのポイント
製造業コンサルタントへ転職した人の中には、転職を後悔した人もいるでしょう。転職を成功させるためには、以下3つのポイントに気をつけましょう。
1. 業務内容の詳しい違いを理解する
2. メーカーの経験にこだわらない
3. 積極的に勉強する
注意点を1つずつ解説します。
業務内容の詳しい違いを理解する
製造業コンサルタントの業務内容を正しく理解しないまま転職してしまうと、後悔するリスクが高まります。とりわけ、メーカーから転職する場合、業務や企業文化の違いに驚くかもしれません。メーカーは製造に関する業務に特化していますが、製造業コンサルタントはマネジメントやリサーチ、経営戦略、マーケティングにも関わります。製造業コンサルタントの業務範囲の広さを理解しておきましょう。
メーカーの経験にこだわらない
製造業コンサルタントへの転職後は、メーカーの経験にこだわりすぎてはいけません。クライアントごとに業界や経営状態、課題、顧客といった要素は大きく異なります。クライアントや時代に合わせた新しい考えが必要なため、メーカーの経験にあまり依存しないようにしましょう。
積極的に勉強する
コンサルティング業務には、クライアントの課題に合わせたアウトプットが必要です。適切なアウトプットを実現するためには、積極的な学習が欠かせません。学習意欲が低い場合、既存の経験や知識に強く依存してしまいます。新たなビジネスフレームワークや、業界ごとの最新トレンドを常に吸収する自主性が求められるでしょう。
製造業コンサルタントとは?まとめ
製造業コンサルタントは専門性の高さから、メーカー出身者が活躍できる職業です。メーカー時代より年収を上げやすく、高待遇が期待できます。また、国内には製造業コンサルティングを手がける企業が多数あるため、需要も高いでしょう。優れたスキルがあれば、将来的なフリーランス化も可能です。
フリーランスのコンサルタントはTHE CONSULへの登録がお勧め
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