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DXコンサルタントとは?将来性や仕事内容、転職に必要なスキルを解説

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デジタル技術の普及により、経済産業省主導のもと「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組む企業が増加しています。

DXの広がりによって需要が増している職業が、「DXコンサルタント」です。この記事では、DXコンサルタントの仕事内容や将来性、未経験からの転職方法について解説します。

DXコンサルタントとは?

DXコンサルタントとは、企業のDX化(デジタルトランスフォーメーション化)を支援する職業です。ソフトウェア、ハードウェア、クラウドサービス、IoT、AIといった最新のテクノロジーを活用し、クライアントの課題解決をサポートします。具体的には、新製品やサービスの開発、新規事業の立ち上げ、業務プロセスの変革と生産性の向上、デジタル人材の育成、企業風土の刷新といったプロジェクトを手掛けます。

そもそもDXとは

DXは、「IT化」や「デジタル化」と意味が異なる点に留意しましょう。そもそもDX(Digital Transformation)とは、デジタル技術の導入によるビジネスモデルや業務の変革を意味します。つまり、DX化は単に新たなITツールを導入するだけでなく、「新規事業の創出」や「業務内容および社内体制の刷新」が伴うわけです。一方のIT化やデジタル化は基本的に「ITツールの導入」に留まり、事業の変革を伴いません。

関連記事:DX人材とは?必要なビジネススキルから人材育成まで徹底解説

具体的なDX化事例

経済産業省は、中小企業の優れたDX事例を「DXセレクション」として表彰しています。2023年度のグランプリは、株式会社フジワラテクノアートによる以下の事例です(※1)。

  • 事例:株式会社フジワラテクノアートのDX化事例
  • 事業概要:醸造食品の製造機械などのメーカー
  • 取り組み:20以上のデジタル技術を導入
  • 主な成果:製造の効率化、納期短縮、DX人材の育成、情報セキュリティ対策の強化 など。
    同社は多くの協力会社との取引にもITツールを導入したため、協力会社にもDX推進が広がりました。

※1 参照:経済産業省「DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)」

DXコンサルタントとITコンサルタントの違い

ITコンサルタントとは、DXコンサルタントと混同されがちな職業です。ITコンサルタントは、企業の経営課題の解決に必要なIT化を支援します。多くの場合、既存の事業における業務改善や効率化が目的です。対するDXコンサルタントの業務はIT化に加え、新規事業の創出、企業風土や組織体制の変革も含まれます。そのため、DXコンサルタントのほうが、より深く経営や新規事業開発に携わるでしょう。

注意点として、どちらも仕事内容の明確な定義はありません。企業によって定義が違う場合もあるので、就職・転職の際は仕事内容や求める人材といった募集要項をきちんと確認しましょう。

DXコンサルタントの平均年収

DXコンサルタントの平均年収がわかる統計はありません。ここでは、非常に近い職種であるITコンサルタントの平均年収を参考にしましょう。厚生労働省の「job tag」によると、ITコンサルタントの平均年収は660.4万円です(※2)。2022年度の日本の平均年収は458万円なため、平均よりも高い給与です(※3)。DXコンサルタントも、ITコンサルタントと同様の給与水準と考えられます。

求人の年収例

実際の求人の場合、DXコンサルタントの給与は以下の通りです。

  • 行政コンサル求人:800万~1,200万
  • 決済・リースコンサル求人:800万~1,300万
  • エネルギー業界コンサル求人:年収800万~1,500万
    (求人参照:ビズリーチ)

このように年収1,000万円以上の求人が多数あり、DXコンサルタントは高報酬な人が多い職業と言えます。

フリーランス向け求人の年収例

フリーランスのDXコンサルタント向けの仕事として、「DX推進」案件が多くあります。次の報酬例をご覧ください。

  • 保険会社コンサル求人:月収90万円
  • 製造メーカーコンサル求人:月収120万円
  • シンクタンクコンサル求人:月収170万円
    (求人参照:フリーランスHub)

フリーランスのDXコンサルタントの案件には、月収100万円以上のプロジェクトがいくつも存在します。会社員よりも高い報酬を得たい場合、実務を積んでからフリーランスを目指すと良いでしょう。

※2 参照:厚生労働省「job tag – ITコンサルタント」
※3 参照:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」

DXコンサルタントの仕事内容

DXコンサルタントは、主に下記4つの業務を担当します。

1. 課題の抽出とDX戦略の決定
2. 社内体制の変革
3. 人材育成
4. プロジェクトマネジメント

仕事内容を詳しく解説します。

課題の抽出とDX戦略の決定

クライアントの現行システム、情報資産、社内体制、事業、業務フロー、顧客や市場を調査し、DXによって解決できる課題を抽出します。次に、デジタル技術による解決策や新たな事業のビジョン、マーケティングなどの戦略を決定します。また、アイデアや戦略の有用性を検証するため、PoC(概念実証)の実施も必要です。

社内体制の変革

DX化すると、クライアントのビジネスモデルや業務フローは大きく変化します。さらに、業務の自動化や効率化により、コア業務に充てられる時間が増加するでしょう。ITシステムを運用するための人的投資も必須となります。こうした組織の再編や関係各所との調整も、DXコンサルタントの役目です。

人材育成

DX化を実行するクライアントは、IT人材が豊富な企業ばかりではありません。したがって、デジタル技術を適切に運用するための人材育成が重要です。ITツールの運用方法などの研修に加え、ガイドラインや業務フローを作成します。加えて、自分が所属するコンサル会社のDXコンサル人材も育成する場合があります。

プロジェクトマネジメント

DXコンサルタントは、戦略の立案だけでなく実行段階のマネジメントも行います。無理のないスケジュール調整、最適な人材のアサインおよび役割分担、リスク管理や進捗管理、品質管理、トラブル対応など、プロジェクトを成功させるためのマネジメントが求められます。

DXコンサルタントの将来性がある理由

DXコンサルタントは、将来性がある仕事の1つです。理由として、以下4点が挙げられます。

1. 市場の変化への対応
2. デジタル人材の不足
3. レガシーシステムの存在
4. DX化のハードルの高さ

具体的に説明します。

市場の変化への対応

デジタル技術が浸透した現代の企業は、激しい市場の変化に対応しなくてはいけません。スマートフォン、AI、SNS、グローバル化、IT技術の発展といった要因により、顧客のニーズや価値観が変動・多様化しているためです。DXを推進することで、時代に適した新たな製品・サービスの開発や、最適なマーケティング方法の確立がしやすくなります。

デジタル人材の不足

デジタル人材が慢性的に不足しているため、比例してDXコンサルタントの需要が高まっています。経済産業省によると、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足するとされています(※4)。DXコンサルタントの仕事は、専門的なITスキルに加え、DXや経営に関する知見が必要です。人材不足と高度な業務内容により、DXコンサルタントは需要に対して少ない状態が続くと思われます。

レガシーシステムの存在

レガシーシステムとは、古い技術によって構成されたシステムです。「システム障害を誘発しやすい」「メンテナンスの負荷が高い」「互換性がなく他システムと連携しづらい」といった問題点があります。新しいデジタル技術を活用しづらく、レガシーシステムを抱えたままでは業務プロセスや事業の改革が困難です。そのため、DX化の一環として、レガシーシステムからの移行に取り組む企業が増えています。

DX化のハードルの高さ

自社のみでDX化を進めるのは容易ではありません。自社に合うデジタル技術の導入と運用、デジタル人材の育成、組織体制の改革、新規事業の開発を進めるためには、客観的な視点や高度な知識が求められます。「そもそも何から手をつければいいのかわからない」と悩む企業は多く、DXコンサルティングサービスの活用が広がっています。

※4 参照:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課「IT人材育成の状況等について」

代表的なDXコンサルティング企業

代表的なDXコンサルティング企業を3社紹介します。

1. 「ベイカレント・コンサルティング」ベンチャーコンサル会社
2. 「アクセンチュア」大手コンサルファーム
3. 「モンスターラボ」中小企業やスタートアップにも対応

各社の特徴を簡単に説明します。

「ベイカレント・コンサルティング」ベンチャーコンサル会社

株式会社ベイカレント・コンサルティングは、総合系ベンチャーコンサル会社です。通信、小売、製造、ハイテク、機械・素材、など、さまざまな業界へのコンサルティングサービスを提供しています。

「アクセンチュア」大手コンサルファーム

アクセンチュア株式会社は、グローバルに活躍する大手コンサルティングファームです。大企業や官公庁向けの大規模なDX推進プロジェクトを数多く手がけており、豊富な実績が強みの会社です。

「モンスターラボ」中小企業やスタートアップにも対応

株式会社モンスターラボは、デジタルコンサルティング事業として企業のDX推進をサポートしています。大企業から中小企業、スタートアップまで、企業規模にかかわらず多数の顧客を支援しています。

DXコンサルタントになるために必要なスキル

DXコンサルタントになるためには、次の5つのスキルがあると良いでしょう。

1. DX関連の知識とIT技術
2. 経営スキル
3. 課題解決力や論理的な思考力
4. 最新トレンドの知識
5. マネジメントスキルとコミュニケーション力

それぞれ具体的に解説します。

DX関連の知識とIT技術

DXに関する基礎から実践的な知識は、DXコンサルタントに必須のスキルとなります。加えて、クライアントに必要なITシステムの要件定義を行うためには、技術的な理解が不可欠です。最新のテクノロジーやITシステムへの教養も欠かせません。

経営スキル

DXには新たなビジネスモデルの創出も含まれるため、DXコンサルタントには経営スキルが必要とされます。基本的な経営理論やフレームワークを習得しておきましょう。さらに、現状の事業分析や市場調査のほか、クライアントの新たな事業のアイデアを生む発想力に、ビジネスモデルの設計力も重要になるでしょう。

課題解決力や論理的な思考力

クライアントは現状に対して課題を抱えていますが、正確な原因や問題点を言語化できているわけではありません。そのため、DXコンサルタントがクライアントの従業員や顧客の意見、市場などのデータを論理的に分析し、客観的に課題を発見する必要があります。デジタル化する部分や新たな業務プロセスなどの効果的な施策を提案するため、課題解決力も必須でしょう。

最新トレンドの知識

DXコンサルタントは、幅広い業界や技術、市場の最新知識が必須です。クライアントによって経営状態や事業内容、業界は違うため、さまざまな領域への教養が求められます。また、時期によって市場のニーズも変化しているでしょう。クライアントへ最適なDX施策を提案するためには、業界や市場の最新トレンドを把握していなければいけません。

マネジメントスキルとコミュニケーション力

DXコンサルタントは、円滑なコミュニケーション能力が必須です。クライアントの従業員の中には、慣習や業務の変革に抵抗を感じる人もいます。多くの人に納得してもらえる戦略を提案するためには、ヒアリング力や立場によって異なる考えを理解する力が欠かせません。さらに、プロジェクトを管理するため、優れたマネジメントスキルも必要となります。

関連記事:コンサルタントのキャリアパスとは?ポストコンサルとは?その実態を深掘り

DXコンサルタントに転職しやすい職業

ここまで紹介したスキルを身につけられる職業は、DXコンサルタントに転職しやすいでしょう。例として、以下の職業が当てはまります。

  • 経営コンサルタント
  • ITコンサルタント
  • システムエンジニア
  • データサイエンティスト

上記の職業は、専門的な経営知識またはIT技術が求められます。加えて、大きなプロジェクトに関わる経験を積みやすく、高いマネジメントスキルを身につけられます。DXコンサルタントの仕事に活かしやすいスキルが多いため、転職後もスムーズに業務を実行できるでしょう。

参考:未経験からのコンサル転職 対策方法と適した条件を徹底解説| MyVision

DXコンサルタントのキャリアパス

DXコンサルタントのキャリアパスとして、主なルートは以下の3つです。

  • コンサルタント職を続ける
  • DXエンジニアに転職する
  • フリーランスになる

順番に見ていきましょう。

コンサルタント職を続ける

1つ目は、コンサルタントとしてキャリアアップしていくパターンです。コンサルタントとしてスキルを磨くことで、より待遇の良い大手ファームへの転職が可能になります。また、経営や戦略、ITなど、他のコンサルタント職への転職も考えられます。

DXエンジニアに転職する

DXエンジニアとは、名前の通りDX専門のエンジニアです。システムエンジニアやプログラマーのような役職ではなく、DXに特化したエンジニア全般を指します。DXコンサルタントの経験を活かしやすく、技術職に近いポジションに就きたい人に向いています。

フリーランスになる

DX推進のフリーランス向け案件が豊富なため、DXコンサルタントは独立しやすい職業です。コンサルタントは激務になりがちですが、フリーランスになることで働くペースを調整できます。ワークライフバランスを充実させたい人や、年収をさらに上げたい人におすすめのキャリアパスです。

関連記事:フリーランスコンサルタントの独立準備は何が必要?貯金は?年収は?

DXコンサルタントへの転職におすすめの資格

DXコンサルタントは資格が不要な仕事ですが、次の5つの資格があると転職を有利に勧められます。

1. 基本・応用情報技術者試験
2. DX検定
3. デジタルトランスフォーメーション検定
4. AWS認定試験
5. ITコーディネータ試験

資格の概要を確認していきましょう。

基本・応用情報技術者試験

「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」とは、ITシステムやソフトウェア、ネットワークなどの知識を問う試験です。どちらもビジネスにおける実践的な内容が出題され、基本よりも応用のほうが高度になります。

DX検定

DX検定とは、DXに特化した資格です。ビジネストレンドや経理理論、デジタル技術に関する出題がされます。成績優秀者は試験のスコアに応じて、高い順に「DXプロフェッショナルレベル」「DXエキスパートレベル」「DXスタンダードレベル」の認定証をもらえます。

デジタルトランスフォーメーション検定

デジタルトランスフォーメーション検定とは、DX推進を行う責任者やプロジェクトメンバー、アドバイザーを認定する資格です。初心者向けの「DX推進アドバイザー認定試験」と、熟練者向けの「DXオフィサー認定試験」の2種類があります。

AWS認定試験

AWS認定試験とは、クラウドコンピューティングサービス「AWS」の技術力を認定する試験です。企業にも広く使用されているAWSへの理解度を証明できるため、DXコンサルタントだけでなくIT技術者からの需要が高い資格です。

ITコーディネータ試験

ITコーディネータ試験とは、経営とITを掛け合わせた知識を認定する資格試験です。資格の取得には、試験だけでなく「ケース研修」への参加が必要です。経営状況や事業に合わせたITシステムの選定や導入、運用体制の構築を体系的に学習できます。

未経験からDXコンサルタントになるには

IT業界やコンサルタント業界が未経験でも、DXコンサルタントへの転職は可能です。未経験から転職したい人は、以下3つのポイントを実践しましょう。

1. 育成枠の求人を探す
2. 志望動機や自己PRを固める
3. 資格やスクールでスキルを習得する

ポイントごとに重要な要素を解説します。

育成枠の求人を探す

転職サイトやエージェントを利用する際は、育成枠の求人を探しましょう。コンサルティングファームは経験者向けの求人が多いですが、育成枠の求人は未経験でも応募できます。前職の経歴は一切関係ないため、転職のチャンスがあります。

関連記事:フリーランスの案件探し11選、紹介が途切れない方法

志望動機や自己PRを固める

面接までに、DXコンサルタントになりたい理由などの志望動機を固めましょう。多くの育成枠の求人は、実務経験ではなく人柄や潜在的なスキルを重視します。企業とマッチする具体的なビジョンや、魅力的な自己PRが大切です。

関連記事:フリーランスの職務経歴書の書き方は?履歴書とはどう違うの?

資格やスクールでスキルを習得する

育成枠の求人であっても、DXコンサルタント向きの資格は有利に働く可能性があります。資格勉強やスクールの講座で知識を深めておくことで、面接の質問にもスムーズに回答できるでしょう。

DXコンサルタントとは?まとめ

レガシーシステムや市場の変化に対応するべく、現代の企業はDX推進が求められています。DXコンサルタントの需要は高く、会社員・フリーランス双方ともに将来性がある職業と言えます。また、年収1,000万円超えのDXコンサルタントは多く、高収入を得たい人にも適した職業です。

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Shine Craft株式会社 代表取締役 濱口浩平
監修者
濱口浩平
Shine Craft株式会社 代表取締役
・2008年野村総合研究所入社、外資コンサルティングファームを経て、2015年よりフリーコンサルタントして活動開始。これまで、IT戦略、DX推進、新規事業策定、PMO、システム導入など幅広いプロジェクトを経験。
・2022年Shine Craftを共同創業
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